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「相手の立場になって考える」

ある人との出会いが自分を変えた。
一言で言えば、
「相手の立場になって考える」
ことを学ばせてくれた。

大学4年生の最終面接、
たまたま一緒に受けた女性が自分を大きく変えた。

待合室で一人の女性が座っていた。

とても綺麗な人だった。

女性と話すのが苦手な自分は近くにそっと座る。

二人だけの時間。

沈黙を破るように、女性から話かけてくれた。

同じ同郷、奈良出身であることを知り、話は盛り上がる。

最終面接が終わり、

お互い東京へ向かう。

相手は指定席、自分は自由席。

東京駅についたお別れだなと思っていた。

ただ、今思うと運命だったのかなと感じる。

新宿から東京

中央線の存在を知らなかった自分は、

相手に身を任せ、教えてくれた中央線に一緒に乗った。

10分ぐらいが過ぎ、その子が大声を出した。

方向を間違えたのである。

東京駅、指定席の新幹線には乗れず、

自由席に一緒に乗った。

話を色々する中で、

感じるものがあった。

少し偏った考え方の持ち主。

特に男性に対する考え方だ。

興味が湧く、

何でこんなに男性に対して偏見を持つのだろう。

新大阪駅、環状線に乗り、鶴橋に近づく。

相手は南大阪線、自分は奈良線。

今度こそのお別れだ。

ただ、その子のことがもっと知りたい自分がいた。

勇気を振り絞り、

「ば、ば、ば、番号交換してください。」

今でも忘れない、噛みまくっていたことを。

その後、

連絡を取り合い、夕食をする。

相変わらずの偏見と会話の端々にある強い口調。

なんで?

なんで?

その言葉がその子からずっと離れない。

大学、夏休みも終わり、

相手は関西、自分は九州へ戻る。

大学生活がはじまってからも

連絡は取り合っていた。

そんなある日、

夜中だったと思う。

電話がかかってくる。

「怖くて眠れない。」

理由は男性から受けた暴力がトラウマで寝れないことだった。

それから色々わかってくる。

中学時代に大好きだった彼氏を交通事故でなくし、

大学時代付き合っていた彼氏が

別れた途端、ストーカーとなり、暴力を振るわれる。

彼女には色々あった。

男性恐怖症。

それから

毎晩のように夜中2時ぐらい電話がかかってくる。

「眠れない」と

会話の中には男性に対する偏見の言葉も並ぶ。

男はやりたいだけの生き物。

悔しかった。

そんな人間ばっかじゃないって思った。

反論したかった。

でも、その子が受けた傷は治すことができない。

その傷が言葉として並ぶ。

何も言えず、ただ聞くだけだった。

少しずつ声が遠くなる。

電話を切るタイミング。

相手が疲れて寝てしまう。

それがいつもの

おやすみのサイン。

毎晩のように電話が鳴る

いつも辛そうだった。

何とかしてあげたかった。

それに男性に対する偏見を変えたかった。

「うちに遊びにおいで。何もせーへんから。」

九州の下宿先に小旅行で遊びにおいでと誘った。

案の定、

「あんたも同じでしょ?」

想定済みの回答だった。

「いいからおいで。何もせーへんから、見せたいもんあるし。」

説得の末、

本当に九州に遊びにくることになった。

1週間。

とにかく嫌な思い出を考えさせる隙間を与えない。

色んな所へいった。

宮崎、熊本、佐賀、福岡、

とにかく毎日何処かへいった。

クタクタになるまで。

最終日前日

見せたいものを見に行った。

夜中、大分の山奥へ車を走らせる。

みせたかったもの

満天の星空だ。

普段からでも流れ星が流れる。

本当に綺麗。

それを見せたかった。

友人とよく見にいっては、

いつも

「自分って何てちっぽけなんやろ」

って思っては、悩みがなくなっていた。

そんな体験をさせたかった。

二人ずっと夜空を眺めた。

流れ星、

願いごとは、

その子の傷を癒して欲しい。

心からそう思った。

予定より1日多く泊り、関西に帰っていった。

何もしなかった。

男はみんなそんな人間ばっかじゃない

見せれたと思った。

それからも連絡はとり続ける。

少しずつ変化が起こる。

言葉が柔らかくなってきた。

男性への偏見がなくなってきたのだ。

普段なら、助手席に座っていても寝ない、

何されるかわからへんから。

そんなことをいっていた子が

隣でスヤスヤ寝ている。

たまに言う、

「司は安心できる」

その言葉が何よりも嬉しかった。

その子と出会ってから、

考えすぎて、寝れない日もあった。

考えれば、考えるほど、

その子自身が楽になるんじゃないかって思えた。

言葉にも気をつけた。

ちょっとした言葉が相手を傷つける。

思ったことをノートに書きなぐった。

伝えたいこともあるけど、

相手を思えば、いうべきではない言葉も

書きなぐって、整理した。

言葉を選んだ。

それぐらい相手を想った。

生まれてはじめての感情。

未だに恋だったのか、情だったのかわからない。

ただ、1つ言えるのは、

相手を強く想えば、本気で想えば、

通じるってこと、伝わるってこと。

「相手の立場になって考える」

今の自分を築いてくれた。

相手の立場・・・と感じるたびに

その女性が登場する。

その度に感謝の気持ちでいっぱいだ。

ありがとうございます。
by tsukate3 | 2012-02-25 09:14 | 「 心 」


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